キャンディ
慶にぃはいつもあたしの部屋に入ろうとはしない。
前に一度、なんで入らないのか聞いてみたら、
「小さい頃に母親に、女の子の部屋へいきなり入ると嫌われるって言われたから」
とか言ってたような気がする。
お母さんの話を素直に聞いてるのが、なんだか慶にぃらしくなくて可愛く思えた。
こんな時にそんなことを考えながら、慶にぃの部屋に入る。
「座って?何があったか話してみ。」
慶にぃの言われた通り、カーペットの上に座ってさっきのことを全部話した。
高1で処女なあたしは、キスだってディープは数えられるくらいしか経験がない。
なのに…あんな強引に……
「そっか…」
一通り話し終えるまで、慶にぃは相槌をうちながら静かに聞いてくれた。
未だに流れ続ける涙を慶にぃが指で拭ってくれる。
「嫌だったよね。辛かったね。」
って、優しく喋る慶にぃを見ると無性に安心できた。
この優しさに包まれたいよ。