キャンディ
――と思ったら、慶にぃはあたしの口を開けて何かを入れた。
口の中にころんと入ってきたそれは、丸くて、表面がつるつるしてて、
酸っぱかった。
「飴?」
目を開けば、慶にぃと視線が重なった。
「レモン味」
慶にぃがにっこり笑って言う。
「ほんとにキスするかと思った…」
「ばーか。兄妹はそんなことしちゃ駄目なんだよ。」
ばかはそっちだよ…
ちょっとドキドキしちゃったじゃん。
慶にぃがくれたレモン味のキャンディは、それはそれは酸っぱくて、
口の中がツーンとした。