キャンディ


―――ガチャッ。


「こんにちはっ」


貴にぃの部屋に入ると、中で寛いでた友達らしき人があたしに声をかけてきた。


「こんにちは!いつもお兄ちゃんがお世話になってまーす。」

これが、貴にぃの友達への決まり文句。


貴にぃ本人は、ジュースを取りにリビングへ行ってるとこだった。


「妹ちゃん、何年生?」

その人が口を開く。


「真衣です!!小4です。」

あたしのむきになってる口調に、その人はちょっと笑って返事した。


「真衣ちゃん、4年生にしたらしっかりしてんね。」


しっかり?

そんなの、言われたことない。


「俺、慶。よろしく、真衣ちゃん?」


そう言ってニカッと笑ってみせたこの人が、後にあたしのお兄ちゃんになるとは、まだ誰も想像してなかった。






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