キャンディ
貴にぃの友達にしては随分と大人っぽい。
落ち着いた雰囲気を放つ彼は、何もかも貴にぃと正反対に思えた。
整った顔立ちに、長めの黒髪。
座っていても背が高そうに見える。
切れ長なその瞳は、今あたしに向けられていた。
「なんか、貴と雰囲気似てる。」
「お兄ちゃんと!?」
別に嬉しくも、悲しくもないんだけども。
「慶、こんなんでいい?」
貴にぃが部屋に戻ってきた。
「ん。ありがと」
貴にぃが手にしてたのは、さっきあたしが冷蔵庫に入れたカルピス。
「あ!!それ!真衣が飲もうと思ってたのに!」
「いいじゃん、ちょっとくらい。」
「良くないよー!!
お兄ちゃんのドーナツ、後でもらうもん。」
「無理。絶対あげねぇから」
その言葉に、あたしは思わず声を張り上げた。
「意味わかんない!だってお兄ちゃんが――」
「ちょっわかったから。ストップ。」