キャンディ

「雨降ってるのに、花火出来るの?」


「んー…」

慶にぃがジッポーの火を花火に近づけるけど、火がつかない。


「無理かも」



無意識に俯くあたし。



「これも試してみよ。」


慶にぃが花火セットから取り出したのは、線香花火。


それをあたしに渡して、慶にぃが火をつける。


「あっ」

ちゃんと火がついた。


「ついてる」



小さく火花が散ってるその光景を、二人で黙って見つめた。









昔、あたし達の親がまだ再婚してない頃、毎年夏休みは花火をしてた。

あたしと慶にぃと貴にぃの三人で。



線香花火の火を、誰が一番長く落とさないか、よく競ってた記憶がある。



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