キャンディ
――「あっ!!」
線香花火の火が落ちた。
「真衣、弱っ」
貴にぃが笑う。
さっきから何度も線香花火をしてるのに、すぐに落ちてしまう。
「もっと、じっとしてやってみ」
貴にぃが笑ってる隣で、慶にぃが新しい線香花火を差し出してくれる。
もう一度火をつけて、息を止めてみた。
「あ…やばっ……
っくしょん!」
何を言い出すかと思ったら、貴にぃがくしゃみした。
その勢いで、あたしの持ってた線香花火の火が落ちた。
「あーっ!貴にぃひどい!!いい感じだったのに!」
「しょーがねぇじゃん?我慢できなかったし」
貴にぃを軽く睨みながら、新しい線香花火を取ろうとする。
けど、もうさっきのが最後だった。
「ない……」
半泣きになるあたし。
「ほら。これあげる。」
慶にぃはそう言って、自分の持ってた線香花火をあたしにそーっと渡してくれた。