キャンディ


あたしを止めたのは、少しのあいだ黙って見てた慶にぃだった。


「これ、真衣ちゃんのなんだよね?
はい。返すね。」


いま貴にぃから受け取ったカルピスを、慶にぃはあたしに差し出した。



「え…」

いきなりで、ちょっと戸惑うあたし。


「慶、甘やかさなくていいのに。」


貴にぃは何故か呆れた様子で言った。



「あっ、ありがと…」

あたしがそう言うと、慶にぃはあたしの頭をくしゃくしゃっと撫でた。



「うん」





あたしの手に戻ってきたカルピスを今すぐに飲むのは、なんだか勿体なかった。





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