キャンディ

「終わったぁー。」


放課後。

日直だった美月が、パタンと日誌を閉じて立ち上がった。


「付き合ってくれてありがとねっ」

「いいよー。どうせ早く帰っても暇だしね」

二人で笑い合う。


「真衣、お礼にこれあげる」


そう言って、美月は自分の手をグーにして差し出した。

その下に手のひらを伸ばしたあたしは、美月からそれを受け取った。


見ると、キャラメル。


「あ、ありがと。」

笑顔で言った。


「それと、さっきの映画のチケットもあげるね。」

「えっいいの?」

「うん。じゃぁまた明日ねっ」


「って、ちょっと待って!一緒に帰んないの?」


あたしが問いかけると、美月は苦笑いを浮かべた。


「ごめんっ。彼氏待たせてんの…」

「え!?いつ彼氏できたの?」

「先週…くらいかな」

「早く教えてくれればいいのにー」

「とりあえず付き合ってるだけだしさっ」


美月は、もう一度「ごめんね」って言ってから、先に帰っていった。
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