キャンディ
―――「いらっしゃいませ。」
店内に入ってきたあたしに、近くにいた店員さんが言葉を発する。
あたしは、いつも座ってる一番奥の窓側の席についた。
「ご注文は?」
聞き慣れた声がして、見上げるとやっぱり慶にぃだった。
「相変わらず似合ってないよ?」
慶にぃのウェイター姿を見て、笑いながら言った。
「うるさいなー。」
その様子を見て、余計に笑いが込み上げてくる。
「何にすんの?」
「んとね、苦くないのがいい。」
前回来たときは、カプチーノを頼んでコーヒーと同じくらい苦かった。
「じゃぁカフェラテにする?」
「うんっ」
よくわかんないけど…。
慶にぃが席から離れていった。
その背中を見つめてると、あたしの隣の席の、女子高生2人組みが視界に入った。
「ちょっ、あの子かっこよくない?」