キャンディ

「チケット?」

「そう。この前言ってた映画のチケット。」


あたしは、制服のポケットに入れっぱなしだったチケットを2枚取り出して、慶にぃに差し出した。


「だから……あげる」

「は?」

あたしに視線を向ける慶にぃ。



「…彼女と行って来たら?」



あれ?

こんなこと言うつもりじゃないのに



「や、真衣が行きたいって言うから…」

「いいの。行って来なよ。」

「昨日の、…別に彼女じゃねぇし」

「彼女じゃないのにあんなことしてたの?」

「真衣に関係ねーじゃん」


慶にぃの低い声が、あたしの胸を突き刺した。


「…そうだね。あたしに関係ないよね」



慶にぃの顔も見ずに、家を出て学校に向かった。
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