キャンディ

あたしが和弥くんに言わなきゃいけないことって、そんなことじゃないよ。


てか、和弥くんの言ってることに身に覚えすらない。


「あの…よくわかんないんだけど。」

「だからっ!先週の木曜、金髪の男と一緒にいただろ?」


苛々したような口調で和弥くんが言った。




金髪の男


その単語だけで、先週の木曜に何してたかを思い出さなくても理解できた。




「それって、もしか―」
「もういいよ。」



あたしの言葉が、和弥くんによって遮られる。



「なんかさ、真衣って何考えてるかわかんねぇ。俺のこと好き?」

「……」



ちょっと前なら、「好きだよ」って言えた。


慶にぃへの気持ちに気づく前なら、答えられた。



けど、今は……
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