執事様とお嬢様
「ど、どうしてここに居るんですか!?」
「…ケイスケ君に渡したいものがあったからだよ。」
そう言って力なくおじさんは笑った。
「…俺に…渡したいもの…?」
「そうだよ。これなんだけど。」
そう言って俺にピンクの携帯と薄いノートが渡された。
「…これ…ルリの携帯?」
「そうだよ。この間、遺品整理をしていたら携帯が出てきてね。中を見たら未送信のメールがたくさんあったんだ……。それは、全てケイスケ君宛てだったんだ…それから、そのノートはたぶんケイスケ君に会ってから書き始めたものだと思うよ。内容はケイスケ君のことばかりだったから。」
「…ルリ……。」
「それじゃあ、私はこれで。」
「え?で、でも!これは…?」
「ケイスケ君に任せるよ。読んでも読まなくても。捨てても捨てなくても。」
「…わかりました。わざわざ、ありがとうございます。」
「こっちもいろいろありがとう。それじゃあ。またどこかで会おうね。」
そう言って笑い、玄関を出て行った。