*。俺様な吸血鬼。*
一生懸命月に追いつこうとするものの
なかなか差は縮まらない。
「ったく、遅い。」
そう言って月が立ち止まって待ってくれた。
「し、仕方ないでしょ?月が歩くの
速すぎなの!」
「別に俺は普通だと思うけど?」
(月にとっての普通は私にとって普通じゃないの!)
そう思いながら月に近づく。
「ほら。」
月に近づくと月が手を私に向けてきた。
「?」
「あぁ~、もう分かんないやつだな。」
月はそう言うと乱暴に私の手をとった。
「え?」
「また水族館のトキみたいにはぐれるのはもう御免だからな。」
さりげなく握ってくれる手に優しさを感じる。
その手に安心しながら月の隣を歩いた。