Tokyo Dolls
目を覚ましサイドテーブルの時計に目をやるとPM9:52。

あれから5時間近く眠っていたことになる。

ゆっくりと体を起こし、リビングへ。

『よく眠れた?』

『えっ・・・』

不意に目に飛び込んできたのは、バーカウンターで酒をつくるJの後ろ姿だった。

『お酒、飲めるよね?つきあってよ。』

そう言うとクルッと私の方に向き直し、両手に持ったグラスの片方を差し出した。

『・・・ありがとう』

私はゆっくりとJに近付き、グラスを受け取った。

『あれ?キミの名前何だっけ?』

一口酒を含みながら大きな黒革のソファーへと腰を降ろす。

『名前は有りません。好きなように呼んでください。』

私はグラスを握り締め、俯いた。

『…ふーん。好きなようにね…だからdollか』

Jは声を挙げてイタズラに笑った。

『座れば?』

と、ソファーへ促される。


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