Tokyo Dolls
車を走らせパーキングに入れると、サングラスをかけJも帽子を被った。

『キミも、はいっかけて』

と、眼鏡を手渡された。

『・・・私、目は悪くないよ』

『度は入ってない、変装用』

とにかく、言われたとおり眼鏡をかけた。

『ここだ、入ろう』

少し歩くと、小さなカフェが見えてきた。

平日のランチタイムを過ぎた時間とあって店内は静かだった。

『いらっしゃいませ』

少し不思議そうな顔をしながら、店員は2Fの通りとは反対側の窓際のテーブル席へ案内してくれた。

『外、見てみて』

『・・・』

窓の外では大きな桜の木が花を満開に咲かせていた。

『凄い、桜・・・綺麗』

桜に見惚れ、少し沈黙の時間が続いた。

『大人しい子ってリクエストしたけど、キミは言葉自体が少ないんだね』

『・・・えっ』



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