Tokyo Dolls
最上階でエレベーターが止まった。

扉が開きかけたその時、目の前が暗闇に閉ざされた。

「…っ…」

「ちょっとだけ、そのままで…」

私の視界は後ろからまわされた、少し冷たい指先に奪われた。

「ゆっくり歩いて…」

囁くようなJの声と、甘くエキゾチックな香りに包まれると、私の鼓動は急速に速さを増していった。

一歩一歩、ゆっくりとJの誘導する方へ足を運ぶ。

「…いいよ、(目)開けて…」

「(わ…)ぁ…」

声にならない声が、唇から漏れていく。

目の前に広がるイルミネーションと、いつもとは違う色でライトアップされた東京タワー。

「…キレ…ィ…」

「…気に入った?」

満足そうに私を見下ろすJの横顔が優しくて、また鼓動が速くなる。

「…うん」

熱を持っていく顔を見られたくなくて、俯くわたしに

「やっぱり年上には見えないよ」

と、言って。頭を大きな手がポンと撫でた。

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