合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「ずいぶんゴキゲンナナメだったみたいだけど、何かあったの?」


あたしは、宿題の手を緩めずにさりげなく話しかけた。


「……」


返事してくれないかな、と思ったら。

ムスッとした声で返事が返ってきた。


「ちょっとな……あんたのこと考えてたら……集中が欠けた」


……へ?


あたしのこと?


え………なに、どういうこと?


突然そんなこと言われて、頭が混乱するあたし。




塔也は相変わらず不機嫌な声。


「チェスの全国大会でさ……決勝トーナメント戦だったんだけど」

「……チェス?」

「宿題あんたにやらせてて、オレはこんなところで遊んでて悪いなって思ってたら、スキを突かれて2回戦で負けた」
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