合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「オレまじめだからさ、問題集前にするとまともに解いちゃうんだよね。

答え写すなんて無理」


「……」


まじめなんて、よく言えたもんだわこの人。

あたしがやってることは何よ。


「まともに解いてると、その量だしそれなりに時間かかんだろ。

人に頼んだら、答え写してもらえるかなと思って」

「……何それ」


めちゃくちゃな理論だわ。

聞いて損した。


あきれるあたしの正面のソファに、塔也はどさっと腰を下ろした。

リビングテーブルに向かって床に座ってるあたしの目を、まっすぐに見る。


「……N高は確かにレベル高い高校だけど、しょせん大学の予備校なわけよ」

「……?」

「高校教育の目標が、大学合格に置かれてるわけ」

「……ああ」


あたしはうなずいた。


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