合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「その宿題も、その域を出ないわけ」


口の端を少しだけつり上げて、ニッと笑う。


「言いたいことはわかるけどさ。

でもそれってさ、屁理屈じゃないの?

そりゃさ、大学進学を目標にしてるっていうのはわかるけど。

今高校で勉強してる科目が、大学合格のためだけってことじゃなくて、高校で身につけるべきことってことじゃないの?」


あたしは反論した。

きれいごと言っちゃって、宿題やりたくないだけなんじゃないの。


塔也はあたしを意外そうに見て、穏やかにうなずいた。


「うん、それはその通り。


でも現状、高校じゃ、大学に行くことが前提で、その先の人生ビジョンまで誰も示してくれないでしょ。

ただ大学を学力レベルで選んで、受験するだけで。


そういう流れにオレは違和感があってさ。
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