合鍵 ～あたしの不愉快な夏休み～

とことん不機嫌な男

ピンポーン。


「藤川です」


ぶーん。

相変わらず返事もなく、自動ドアが開く。



次の日も、あたしはバイトに出かけた。

またしても、いかにも寝起きの不機嫌な鬼太郎くんに出迎えられる。


……違う。

鬼太郎じゃなくて、塔也だった。



「……」


無言でドアを開けて。

あたしの顔を見もせずに、無言で部屋の中に入っていく。


今日は声を出すことすら面倒らしいよ。