合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「終わったぁっ!」


あたしは世界史の問題集を、完了の山に加えた。


「順調だな」


不意に上から声が降ってきた。

いつのまにか、コーヒーカップ片手の塔也が上から覗いてた。



さっきの不機嫌さはどこへ行ったのやら、涼しい顔してる。

どうやら内側で昇華したように見えるよ。


「もうあとこれだけか。

早かったら明日にも終わりそうだな」


そう言いながら。

さりげなくあたしの分のコーヒーカップをテーブルの上に置いた。



「ありがと」

「……」


塔也ってば、相変わらず無言のしらんぷり。


(絶対照れてる)


うぷぷぷ。

内心笑ってやるあたし。
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