か弱い羊と優しい狼


「…ずいぶん…抜けた顔してるわね…



なんとかしてあげようと思わないの?」



……ルミはタバコに火をつける


(バレても知らないから…)


まぁ…あたしも昔吸ってたけど……


「…なんとかって……


どうしたらいいか分かんないもん…」



「分かんないもんって
あんたさっちゃん?


もっと強気で根性あるほうが
似合ってるわよ、幸」



「はい」と、封筒を渡される



「……何……これ……?」


すごく分厚い


「………何って…治療費よ」


治療費………?



あたしは封筒を開けて中を見る



「ぇえ!?!?」

ななななななな何百万…!?


いや、億………!?


「驚きすぎよ
うるさいわね。



そんだけあったら
ガンも治るでしょ?



それと……今までの
時間も返さなきゃいけないし」




………ルミ………


「……あんた……


こうゆう時だけ
役に立つじゃん…!」


あたしはルミに


「ありがとう!!」


と言い、屋上から飛び出た









「……ほんとは…



…あたしもあんたみたいに
なりたかったわ……」



ルミが小さく呟いたのは
幸には聞こえなかった………




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