さようなら。
「じゃあまたな」

あたしの家に着いて

哲が頭をぽんと叩く。

『またな』っていつも言うけど

その『またな』が待ち遠しい。

「うん

またね」

あたしもいつもの『またね』。

バイバイ、って手を振って

本当にバイバイする。

あたしの部屋に戻ってから

窓から帰って行く後ろ姿を見る。

今別れたばっかりなのに

もう哲が恋しくなってる。

心臓が痛くなってくる。

「早く会いたいなぁ……」

もはや口癖にもなってる

『会いたい』の言葉。

大好きな人に会いたい。

夏休みなんかなくなっちまえ。

初めてそう思ったんだよ。

休みなんていらない。

だから哲に会わせてよ、って。

あと数日の夏休み。

あと数日すれば本当に秋。
< 105 / 150 >

この作品をシェア

pagetop