さようなら。
校門の前まで来たとき

玲奈先輩と偶然会った。

「おはよう優花ちゃん!」

「おはようございます……」

普通にしていようと思っても

気持ちはやっぱり出ちゃう。

声はいつもより低いし

顔は下を向いてるし。

玲奈先輩にも気付かれた。

「……もしかして

テツとなにかあったの?」

ほらね、

本当は聞いてほしくて

聞いてほしくて仕方がなかった。

……だけど言えなかった。

なんで言えなかったのか

あたしにもわからない。

なんか言っちゃダメな気がして

話すのを拒んでしまった。

「……なんでもないです

昨日ちょっと漫画読みすぎて」

嘘。嘘だけど仕方ない。

これしか言えないんだもん。

「そっか

授業中寝ちゃダメだよ!

じゃあまた!」
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