さようなら。
胸が痛い。痛い。

「……寝坊…しちゃった

本当、焦ったよぉ」

とっさについた嘘。

嘘がひとつまた増えた。

嘘をついてしまったら

嘘に嘘を重ねなければ

いけないから……

嘘はつきたくなかったのに。

「なら…いいけど

具合悪くなったりしたら

すぐ言うんだよ?」

「うん

ありがとう」

……ありがとう。

いつも良くしてくれて。

でも、ごめんね?

大事なことが言えなくて。

あたしたち親友なのに

言えなくてごめんなさい。

この日はいつもよりも

遅いようで早く早いようで遅く

時間が過ぎていった。
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