さようなら。
五時間目のホームルームのとき

あたしの携帯が鳴った。

――哲からの電話。

あたしは先生にお腹が痛いと

嘘をついて教室を飛び出した。

『もしもし!?』

コールが鳴りやむと困るから

急いで電話に出た。

『……もしもし

連絡できなくてごめん

色々あって……』

『色々って?』

『………………

会って話したい

…今外出れる?

喫茶店なんだけど……』

『今から行くよ』

そう言って電話を切った。

哲の声がすごく低かった。

『優花』って呼ばなかった。
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