さようなら。
別れ話かも、って思った。

たぶんいい話じゃないって。

だけど、そんな不安よりも

会える喜びのほうが大きくて。

躊躇なく手ぶらで学校を出た。

走って喫茶店へ向かう。

一秒でも早く会いたい。

その気持ちだけで走った。

息が切れてくる。

「いらっしゃいませー」

またいつもの店員の声。

「哲!

いきなりどうしたの?」

「……まぁ、座って」

やっぱりいつもと違う。

言われた通りに座るけど

哲はなにも話さない。

あたしもなにを話せばいいのか

わからないから沈黙。

こんな哲、初めてだよ。
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