さようなら。
温もりが

手を伝ってくる。

だけど

ふいに




『あたしは汚い』




そう

思った。

あたしは

テツ先輩には

触れちゃいけない。

さらに

手が震える。

「佐倉さん?」

「………ぃで」

「なに?」

「……触らないで!」

あたしは

かばんを持って

店から出た。

「佐倉さん!」

テツ先輩が

追いかけてくる。

……来ないで。

来ないで。

来ないで!

走って

走って

とうとう

学校の裏の

公園で

テツ先輩に

手を掴まれた。

「離して!」

「どうしたんだよ

いきなり!?」

手を振り払って

後ろを向いた。
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