さようなら。
「これうめぇ!

絶対これ入れろよっ」

良かったぁ。

練習した甲斐があったなぁ。

明日も作ろう♪

「あっでねでね!

匠が――」

今まで普通に会話してたのに

急に視界が変わった。

肩を引き寄せる強い手。

あたしの頬に触れる指先。

近づく大きな瞳。

かすかにする香水の香り。

唇に触れる唇。

突然哲はあたしにチュウをした。

不意打ちで生まれて初めての

甘い甘いチュウ。

唇が離れて目が合うと

「俺の前であんまり

男の話はしないで」

ってあたしに言った。

哲って意外とヤキモチやく?

また不機嫌そうだし。

子供っぽいとこあるなぁ。
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