さようなら。
『あの……哲は……』

『あぁ……あいつ?

あいつさ、一言も喋んねぇ

さっきの試合の唯一の一点は

テツのタイムリーだから

落ち込む必要もねぇのにな

監督とも部員とも口きいてない』

……そうだよね。

あんなに甲子園に行くために

頑張ってたんだもんね……

落ち込むのも無理ないよ。

『絶対甲子園に行く』

そう言って頑張ってたもん。

『優花ちゃんなら

話してくれるんじゃない?

ほら、来たよ』

1番後ろに哲がいた。

下を向いて歩いてきた。

『右肩に負担かけないように』

っていつも左肩にしょってたのに

今は右肩にバックをかけていた。
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