─約束のRing─



どんどん
濡れていく
地面を私は
ただ見つめていた。



すると、



『優花ちゃん!!』



いきなり名前を
呼ばれた私は
急いで手で涙を
拭った。



でも、どこかで
聞いたことのある
声だった。


振り向くと、
思った通り
そこにはさっきの
ぶつかってしまった
男の人が立っていた。



『なっ、何ですか?』



『別にー
ただ泣いてると
思ったから』



そう言いながら
男の人は私の
正面に座った。



『何で…ですか?』



『だって今にも
泣きそうな声してたから』



そう言って
男の人は私の
涙をブレザーの
袖で優しく拭いた。




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