─約束のRing─



『さっき幸紀斗くんが
校門の前で女の子と
話してたんです。』



『うん』



『話してる時の
幸紀斗くんの顔が
すっごく楽しそうな
顔してて…ぐす…っ』



そこまで話すと
さっきの光景が
頭に蘇ってきて
また涙が出てきた。



『うん、うん』



男の人は私の
頭を優しく、優しく
撫でていた。



『…っ…
あんなに楽しそうな
幸紀斗くんの顔を
初めて見ました…』



『うん』



『…私には…
あんな顔見せた
ことがありませんでした』


朝ぶつかってしまった
だけで別に友達でもない
この男の人に
なぜ私は話せたんだろう。



でも、この男の人なら
受け止めてくれる
気がしたから。



『わ…たしじゃ…
ダメ…っ…
なんですか…っ?』



そこまで言うと
男の人は私を
ギュッと抱き締めてた。



『もう…喋んな。』



男の人は
そう言って
また強く私を
抱き締めた。



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