─約束のRing─




『姫華が逃げ出した
時は真夜中で
真っ暗で
だれもいなかった』




『……』




『誰もいない
夜道を1人で
当てもないまま
歩き続けたんだよ』





『……』





『姫華には
もう戻る場所が
なかったから
恋人のところだけには
戻りたくなかったから』




──ポタ…ッ




私の瞳から
知らない間に
大粒の涙が
溢れ出していた。





『次の日になって
姫華は学校に
来なかった。
しかも無断欠席だった』




『……』





『おかしいと思った
兄貴は学校を
抜け出して
姫華を探しだしたんだ』




それだけ
心配だったんだ。








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