─約束のRing─




『それから
兄貴も姫華も
部屋から一度も
出てこなかった』




『……』




気のせいか
尚の目にも
涙が溜まって
いるように見える。




『俺にはその日に
何があったかなんて
わかんなかったから
兄貴の彼女が
泊まりにでも
きたのかな?って
いうくらいの
軽い思いであんまり
気にはしていなかった』




『……』





『その夜、
いつもどおりに
寝ていたら玄関の扉が
──パタン…って
閉まる音が
聞こえたのは
今でも覚えてる…』




『……』






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