─約束のRing─
『俺…
何がなんだか
わかんなくて…』
そこまで言って
尚一粒の涙を流した。
『……ん』
私は尚の背中を
擦った。
『俺は…
兄貴のケータイに
電話したんだ…
でも…出なくて…』
『…うん…っ』
先を聞くのが
怖い…
でも聞かなきゃ
ダメだと思った。
受け止めなきゃ
いけないと思った。
『俺…は…
イヤな予感がして
…急いで着替えて
俺も家を飛び出した』
尚の目から
たくさんの
涙が溢れている。
尚の泣いた
姿を見たのは
初めてだった。