─約束のRing─
『走って走って
兄貴を探しまくった』
『…うん』
『走っているうちに
時間が過ぎていって
人も増えてきた…』
『…うん』
『でも…行き交う
たくさんの人混みの中に
確かに兄貴と姫華が
見えたんだ…』
『…うん』
『俺が【兄貴!!】って
呼ぼうとしたら
兄貴が【姫華!!】って
すごい大声で
叫んだんだ』
『……っ』
『兄貴の声で
俺の声は消えた。
兄貴が【姫華!!】って
叫んだ方を見ると
姫華が立っていた』
やっと見つけた
姫華さん。
『その時兄貴と姫華は
横断歩道を挟んで
立っていた…』
尚の涙が
シーツに染みていく。