─約束のRing─
手が離れた瞬間。
どうしようもないほど
寂しさが襲ってきた。
あと少し…
時が止まってくれれば…
──プシュー…
幸紀斗くんが
電車に乗り込んで
扉が2人の間に
壁を作った。
ガラス越しに
手を合わせているのに
どうしてこんなにも
遠く感じるの…?
ダメだ。
笑顔で見送るって
決めたのに
私の目からは
たくさんの雫が
零れ落ちていた。
『幸紀斗くん…っ
幸紀斗くん!!』
『優花…
約束…守るから…っ』
そう言って幸紀斗くんは
約束のリングを
私に見せた。