闇夜の数だけエゴはある
第七夜

儚が背後に舞い降りる。

着地。

その初動よりも速く。

「させねぇよ」

武羅人は動いていた。

振り向き様に、バックハンドブロー気味の手刀!

咄嗟にその攻撃を回避しようとバックステップする儚。

しかし遅い。

武羅人の手刀は儚の首…頚動脈付近をかすめる。

それだけで十分だった。

「!!!!」

亜吸血種とはいえ、ヤワな儚の細首が武羅人の手刀で傷つけられる。

その傷から噴き出すのは、美しい真紅の鮮血。

まるで噴水のように。

或いは火山の噴火のように。

とめどなく赤い血が迸った。

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