闇夜の数だけエゴはある
深夜。

歓楽街の暗がりでひとつの命が潰える。

犠牲になったのは名も無き人間。

犠牲を出したのは雑種の亜吸血種。

理由は暴力衝動を満たす為。

理性もモラルもあったものじゃない、ただの『エゴ』を満たす殺戮。

高貴な血統である吸血鬼の末裔とは思えない行為だった。

だが、これが今の『楽園』の現状。

『楽園』の意味を履き違え、多くの人外がこの地に集まる。

そして欲望の赴くままに衝動を満たす。

それが秩序を崩壊させ、無法地帯を作り出すとも知らず。

…それは杖縁梓が憂いでいた『楽園』の行く末でもあり、私も同じく憂う現状だった。

肝心なのは『私の手で』楽園を掌握する事。

結果が同じでも、梓とは過程が違う。

出碧家が掌握する事に意味がある。

それこそが私の『エゴ』だから。

己の『エゴ』を満たす為、他人の『エゴ』を叩き潰す。

大義はどうあれ、結局はそこに集約された。



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