闇夜の数だけエゴはある
言語ではない、獣の唸りのような声を上げて近づいてくる五人の男子生徒達。

私はジリジリと下がりながら、背後のフェンスに背中をつけた。

完全に追い詰められた。

周囲は男子生徒達に囲まれている。

逃げ場はない。

そんな中で、突然。

ヒュッ、という風切り音。

同時に私の右脚…その膝から下が『消えた』。

そして次の瞬間。

パンッ!

音を立てて一人の男子生徒の頭が爆ぜる。

まるでスイカ割りの哀れなスイカのように。

真っ赤な中身を屋上に撒き散らし、その胴体をその場にくず折れさせた。

…残る四人が、男子生徒の亡骸と私を交互に見比べる。

「フン…」

私は不敵な笑みを浮かべていた。

「虜如きが亜吸血種(あきゅうけつしゅ)に勝てると思ってるの?」

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