闇夜の数だけエゴはある
影すら映らぬ蹴撃で骸を量産する梓。

型も技もなく、ただ暴力によって屍の山を築く武羅人。

荒れ狂う闘争の間で、私はただ立っていた。

武羅人と梓。

この二人を突破し、私に手を出せる者など皆無だった。

それどころか二人に致命傷を与える事すらできずに、次々と絶命していく。

…一体この廃工場に何人の亜吸血種が潜んでいたのかはわからない。

しかし一時間もしないうちに、その全てが肉片か、肉塊か、そのどちらかに姿を変えた。

あとに残ったのは、むせるほどの臭気に包まれた血の海。

皆殺しという言葉すら生ぬるい。

大量虐殺の跡だった。



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