闇夜の数だけエゴはある
「へぇ…」

煙管をユラユラと揺らすしとね。

その動きが彼女の愉悦を表す。

「まぁ決裂すりゃあ闘争も致し方ないやね…当主としては当然の判断だ。若くても一端じゃないのさ」

「どうも…」

頭は下げず、礼だけ述べる。

一瞬たりとも視線を外すなんて、できなかった。

…揺れる煙管がピタリと止まる。

「ところであんた、幾つほど選択肢を準備してきたんだい?」

しとねは軽く身を乗り出して、私を見た。

「休戦、同盟、和睦、徹底抗戦…まぁそんなとこだよねぇ?どれを選ぶかは相手の出方次第ってとこか…まさか白旗は準備なんてしてないだろう?」

「……」

何が言いたいのか、理解できなかった。

なので。

「言いたい事がわかりかねます」

そのまま告げてみる。

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