闇夜の数だけエゴはある
その言葉に迷った。

確かにしとねと対峙している儚の事も気になる。

だけど戦力を分断させるより艶を一気に仕留め、その後二人で儚のもとに駆けつける方がいいのではないだろうか。

「わかってないな」

池から上がった武羅人は、一定の距離を置いて艶と向き合った。

「『同類同士』ここは俺に任せろって言ってんだ」

武羅人の言葉に、私は怪訝な表情を見せた。

「『同類同士』って…私も亜吸血種なんだけど?」

「だからわかってないって言ったんだ…」

武羅人の双眸が赤く光る。

堕蓮の心臓が活動し始めた合図。

それに呼応するように。

「!?」

艶の瞳もまた、血のように赤い輝きを灯し始めた。

「驚いた…」

心底の驚愕と、興味をそそられる好奇の眼差し。

半々の表情で武羅人は前傾姿勢になった。



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