闇夜の数だけエゴはある
…崩れるようにして倒れる、野須平しとね。

彼女が倒れ、完全に動かなくなるのを確認して。

「…ふぅうぅ…」

私は溜息をついた。

野須平家の一族を根絶やしにした。

これで出碧に盾突く者はいなくなる。

小競り合いは今後も続くだろうけど、実質渡蘭市は出碧の手中におさまったと考えていいだろう。

安心すると、呼吸が乱れた。

…肉体の損傷は既に再生が始まっているものの、流石にダメージが大きい。

出碧は本来、直接戦闘には向いていないのだ。

それ故に能力も『吸血』だし、肉体の強靭さも他の亜吸血種に比べれば劣る。

再生能力も若干弱めだ。

それを私は血の滲むような努力で、何とか戦闘に耐えうるように補ってきた。

それでも元々の能力の限界は超えられなかったけれど。

まだ思うように体が動かなかった。

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