闇夜の数だけエゴはある
飛翔。

私達杖縁の亜吸血種は、高い跳躍力を持つ一族である。

その源は強靭な脚力。

その脚力を生かし、杖縁の戦闘は蹴り技を主体としたものが多い。

中でも、剣術で言う居合い斬りの要領で放つ『無影の蹴撃』は、杖縁の者しか使えない技である。

速さ比べならば、どんな人外にも負けない。

私はそれほどの自負があった。

速さだけでなく威力もご覧の通りだ。

たった一撃でアスファルトにキスをした儚が、その全てを物語っている。

「さて」

私は倒れ伏したままの儚の頭を踏みつける。

「出碧家最後の血族として…何か言い残しておく事はあるかしら?」

< 28 / 221 >

この作品をシェア

pagetop