闇夜の数だけエゴはある
しかし。

「責任?笑わせるなよ」

相変わらずポケットに両手を入れたまま。

武羅人の表情が愉悦に歪んだ。

「なん…ですって…?」

私は彼の発言に驚く。

台詞が違う。

ここは、私の言葉に武羅人が脅え、最悪の現場に遭遇してしまった運のなさを悔いる場面だ。

そんな尊大で傲慢な言葉を口にする場面ではない。

にもかかわらず。

「てめぇの間抜けでてめぇが逃がした獲物を、俺に責任取れっていうのか?てめぇはどこのお嬢様だ」

脅えるどころか饒舌に。

武羅人は私を罵倒した。

「闘争だ名門だと大層に語るなら、てめぇの不出来と不始末くらい何とかしろ。どんな良家の箱入り娘でも、ケツくらい自分で拭くぜ?それとも、そういうみっともねぇのに興奮する性質か?お前」

「貴方…!」

余りに無礼な発言。

私の中で殺意が膨れ上がる。

だが。

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