闇夜の数だけエゴはある
思う存分欲望を吐き出し終える頃、武羅人の全身の傷はすっかり回復し終わっていた。

骨折も、打撲も、内出血も。

すっかり元通りに再生し、私との闘争前の状態になっている。

このくらいの回復力は、亜吸血種ならば当然の事だった。

そして私の内臓近くにまで達していた裂傷も、ほぼ再生し終えていた。

だが、武羅人によってズタズタにされた衣服と私の矜持は回復などしない。

…散々蹂躙されたまま、私は立ち上がれないままでいた。

「殺しなさい」

私は言う。

こんな屈辱は耐え切れなかった。

このままおめおめと生き恥を晒すくらいならば、この場で命を絶たれた方がマシだとさえ思えた。

「敗北に陵辱…こんな恥さらしの状態で生かしておこうっていうの?」

「……」

武羅人は何の感情もこもっていない表情で私を見下ろした。

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