闇夜の数だけエゴはある
そして吐いた第一声。

「知った事じゃないな」

彼は遭遇した時と同じく両手をポケットに入れたまま言う。

その瞳は黒色に戻っている。

あの燃えるような真紅から、元の黒い瞳に変わっていた。

「殺したい時に殺す。犯したい時に犯す。敗者の生殺与奪は勝者の自由だ。お前の誇りも矜持も知った事じゃあるか」

「く…」

どこまでもケダモノだった。

この男は私を蹂躙したい時にすると言っているのだ。

憎悪に満ちた視線を叩きつける私に、武羅人はニヤリと笑う。

「それが俺の『エゴ』だ」

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