闇夜の数だけエゴはある
暗がりでの惨劇。

壁に、地面に、男達の血と体液が撒き散らされる。

返り血を全身に受けながら、それでも武羅人は平然としていた。

ポケットに両手を入れたまま、無表情のまま。

…何故助けたのか。

私がその理由を訊くよりも先に。

「お前に勝ったのは俺だ。お前が負けたのは俺だ」

武羅人はそんな事を言った。

「お前はこの連中に負けた訳じゃない。こいつらはお前を負かした訳じゃない。こいつらはただ、俺の食い残しに集ってきただけの蝿だ。生殺与奪の権利はないし、お前を蹂躙する権利もない…だから屠った」

「……」

私は恐る恐る尋ねる。

「それも貴方の『エゴ』…?」

「そうだ」

武羅人は当然のように頷いた。

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