闇夜の数だけエゴはある
「ちょ、ちょっと待ってよ!」

梓が慌てる。

彼女も俺の戦闘力は身を以って理解している。

流石に屋敷の中で俺が暴虐を振るうのは望む所ではなかったようだ。

「わかった!わかったわよ!ホントの事話すから!」

その言葉に、俺は少し殺気をおさめる。

…おとなしくなった俺を目の前に、梓はバツの悪そうな顔をした。

「興味があったのよ」

「興味?」

「……」

俺の機嫌を伺うように、彼女はおずおずと言う。

「名門の出でもない…雑種の貴方が、何で私を上回るような力を持っているのか…あの『赤い瞳』は何なのか…少し詳しく調べたかったの…」

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